日本の社会では上司や先輩を立てたり指示は絶対に従うという体育会系的で軍隊のような風土が長年定着しています。
最近はハラスメント防止対策などが発表されて職場の人間関係のあり方などが見直されてきています。
今回読了したちくま新書の「パワハラ上司を科学する」では、神奈川県立保健福祉大学大学院准教授で社会疫学、行動科学、産業保健学の専門家である著者が科学的視点でパワーハラスメントを行う人物の精神状態について説かれた書籍です。
パワハラに関する書籍はたくさんあり、職場の人間関係に悩みを持っておられる方が多いいのだろうと感じます。
人間関係について言えば私もそんなに器用に人付き合いができる方ではないので、ついついこの書籍を購入してしまいました。
書籍の特徴としては科学者が執筆されているだけあって、感情論などはなく学術的観点から解説されている印象を受けますので様々な統計データを用いながら、パワハラを行う人物はどのような特性があるのかということが紹介されています。
前半部分はパワーハラスメントの特性や定義が紹介されていて、どのような行為がパワハラに該当するのかということが紹介されています。
また管理職の特性を脱線型上司や専制型上司や放任型上司などタイプ別にしてそれぞれのタイプが陥りやすい状態についても解説されています。
ハラスメントが注目されるようになってから、部下と距離を置くようになったといった意見を聞いたりしますがそれは良くないことのようで適度に距離を置きながら部下の立場に立ちマネジメントを行う方法も紹介されています。
個人的にもハラスメントで訴えられたくないから部下との距離を置く管理職の気持ちはわかりますが、そう単純な対応はよろしくないないようです。
後半部分はそれらを踏まえた上で、感情的にならない方法や部下との接し方など丁寧に紹介されています。
読んでいて日本全体が体育会系的な風土が長年定着してきている印象があり、運動部の雰囲気がそのまま社会にも反映されていて会社に入社してからも厳格な縦社会で萎縮してしまい精神を病んでしまうケースが増えています。
昔の価値観を強要する方も多くいると思いますが、昔は良くても現代では通用しないことは人間関係に関わらずあらゆる場面であります。
時代とともに人々の考え方や価値観が変化しているので昔の常識が理解されないから悪いのではなく冷静になり昔の価値観を押し付けないことが大事なんだと感じました。
紹介されていることを実践するのは大変だと思いますが、まずは意識を変えることからはじめるといいかもしれません。