経済学に関する書籍は何冊か読んだことがありますが、その研究と教育を行う経済学部について考察された書籍は読んだことがありませんでした。
たまたまオンラインショッピングサイトで見つけて今回読んだ、中公新書ラクレの「ニッポンの経済学部」というタイトルの書籍を購入するに至りました。
経済学部に特化した本は見たことがなかったので、とても興味がありました。
内容としては、有名大学の経済学部の誕生経緯といった歴史に関することや経済学部の特色やそれに関連する社会科学系の商学部や法学部経営学部との関連性などが前半部分紹介されています。
学問においては学派などの派閥があり経済学にもマルクスやケインズなどの学派があり、各大学ではどの学派に沿って研究活動が行われているかなどが紹介されています。
昔は産業や経済が発展する際に企業活動における財務やら経理或いは商業やビジネスにおける人材育成が必要になり高等商業学校などが設立されていきそれが現在の神戸大学や一橋大学など所謂旧高商と言われる大学の歴史についても紹介されていて、大変興味深い話でした。
タイトルにニッポンと書かれていますが、著者が米国や英国で研究活動をされてきた経験がおありなので、米国の経済学の研究や欧州地域の社会科学研究の特徴についても紹介されています。
また経済学を研究している経済学者とはどんな人物なのかや著者が高く評価している経済学者の紹介などもされています。
経済学に限った話ではありませんが、著者が大学教員という立場であるからなのか今後の大学教育についても言及されています。
少子化が進行していくなかで大学数が多く若年層の数に比例しない状況になるなかどのように大学を運営していくべきなのかということも説かれています。
最近よく見かけるようになったビジネススクールについても日本国内と海外双方の実情について解説されていて面白いと思いました。
この本が出版されたのが10年程前ではありますが、これから進路を考える受験生はもちろんのこと企業や官公庁で働く社会人や社会科学に興味がある方が読んでも十分楽しめると思います。