人文社会科学系の学問は、その分野の歴史を把握した方がその学問の理解がしやすいようですが、著者の大澤さん曰く社会学の分野ではそうしたことをテーマにした書籍はないようです。
社会学は他の社会科学の中でも比較的歴史が浅い分野だそうです。
アリストテレスやルソーや経済学の資本論でお馴染みのマルクスなど主に西洋の社会学者が提唱してきた理論を中心に紹介されています。
初学者でも分かりやすく工夫されなが解説されているので、そこまで難解な表現はないと思います。
紹介されている社会学者が執筆した本の紹介をしながら時系列で社会学の歴史について紹介されているので気になったところはその社会学者の著書が市場に出回っていたら著書を読んでみるのもより深く社会学の理解に繋がるではないかと感じます。
新書にしてはかなり分厚いので大変読み応えがあると思います。
西洋を中心に紹介しその後、戦争の関係でヨーロッパからアメリカに亡命した学者が多いので西洋から米国に発展の中心が一旦移ります。
そうした人類の歴史と重ね合わせながら近代までの社会学の歴史について紹介された後に今後の社会学のあり方や展望について著者の見解を交えながら紹介していく流れで話が進んでいきます。
法学や政治学や経済学などの社会科学との接点も深いので関連性が高い話も多いのですが、宗教や哲学などの分野にも裾野を広げているので他の社会科学ではカバー出来ない部分を取り扱っているという観点から非常に幅が広い学問だと感じました。