いつの時代も組織の不正が公にされることがあり、その都度改善策などが練られますがまた時間が経つと不正が繰り返されることが多いものです。
不正の内容はそれぞれ違いますが、大体金銭や利権に関することが多いと思います。
今回読了した講談社現代新書の「農協の闇」では、元日本農業新聞の記者がJAという農家の組合組織で起こった不正について紹介されています。
JAという組織は非常に規模が大きく地方は勿論のこと都市部で暮らしている方も聞いたことがある組織だと思います。
主に農家と農業市場の仲介に入り円滑に農業が進展していくことを担う組織ですが、最近は農家人口の減少もあり銀行業や保険に該当する、共済といった金融部門で拡大を図っている地域農協が多いそうです。
主に金融の部門における不正について紹介されていることが特徴だと思います。
著者が勤務されていた日本農業新聞とはJAの機関紙であり悪い表現になってしまいますが、JAの広報誌のような役割を担っているので日本農業新聞在籍時に執筆できなかったことを新書にしては多めの300ページ以上の分量で紹介されています。
まず前半部分は金融部門における過剰なノルマによる問題点が紹介されています。
農協というと株式会社ではないので100%営利目的の組織という印象はありませんが、他の民間の保険会社以上にノルマが設定されていてそれ故クライアントを騙したり、或いは職員の私費でノルマの補填を行ったりする自爆営業と紹介されていますが、労働する目的を見失うことが行われている実態が当事者からの取材で明らかにされました。
これは他の本で読んだのですが、金融とは全く関係ない別の業種の営業職でも同じようにノルマの補填を私費で行うことがあるようですがそれでは、組織の利益にはならないので従業員のモチベーションを上げる意味でノルマを課している企業は多いと思いますが、その度合いや方法を見直していかなくてはならないと感じました。
その他は近年地方での農家人口や非農家もそれぞれ人口減少しているわけですから、地域別に細かく分散されていた農協の合併が行われている現状やJAの主力分野である、農業事業における不正についても紹介されています。
勿論不正ばかり紹介されているわけではなく各地域のJAにおける取り組みも紹介されています。
今の時代これまで人口も市場規模も右肩上がりの時代から人口減少など今までとは異なる社会になってきてるので大きな転換点になっているので今までのビジネスモデルを見直していかなくてはならない時代になっているのだと感じます。