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地方在住の読書好きで主に通勤電車内で読書をしております読んだ本の内容を整理するためにブログを開設いたしました。 新書を中心に気になるテーマの書籍を読みながら読書Lifeを過ごせたらと思います。

日経BP社出版の「ANA苦闘の1000日」高尾泰明氏著を読了しました。

自宅の最寄駅からの道中ふと夜空を見上げると、そこには無数の旅客機が飛んでいる光景を見ました。

「結構飛んでいるんだな」と感じたことがあります。

しかし2020年を境にその光景は一変してしまいました。

中国湖北省武漢市が発祥とされる新型コロナウイルスが猛威を振るいはじめて日本国内でも感染者が急増し海外渡航をはじめ国内移動も制限されるようになったからです。

この新型コロナウイルスの影響により様々な業種に影響が及びました。

なかでも観光業や交通機関などは影響が大きい産業でした。

特に航空会社は前例のない事態に陥ってしまったのです。

今回読了した日経BP社出版の「ANA苦闘の1000日」では全日本空輸(ANAHD)のコロナ禍における奮闘ぶりが紹介されています。

ANAHDは2021年3月期業績は売上高63%減の7286億円、営業損益は4647億円のマイナスで新型コロナウイルスの影響を受けた企業の中でも最大規模の赤字に陥りました。

 

競合他社の日本航空JAL)は2010年に経営破綻し、財務基盤の強化がなされて金額的には大差がありませんが、ANAHDほどの悪影響ではなかったそうです。

ANAHDは純民間企業としてこれまでも様々な取り組みを行いライバルの国策で設立されたJALに追いつけ追い越せで事業を拡大させてきました。

そのスピリットでこのコロナ禍という国難を乗り切っていくわけです。

 

私は今年ANAの飛行機に搭乗する機会があり、この本を読んでみようと思いました。

冒頭では、中国の武漢にあるANA武漢支店のコロナウイルス流行期当初のことが紹介されています。

ANA武漢に唯一定期便を運行している日系航空会社で邦人の日本帰国を日本政府から委託されて無事に希望者の帰国を実現しました。

その際に武漢支店やANAの乗員をはじめとしたスタッフの奮闘ぶりなどは文章を読んでいるだけでも伝わってきます。

 

また航空便の運行を大幅に削減したのでその際の余剰人材を外部企業や官公庁などへの出向という措置を行ったり異例づくしの対応を行わなければならなくなり、その際のニュースでは報じられなかったことなども紹介されています。

2年以上航空便の運行を削減しなければならない状態になり、非航空分野での活路を見出さなければなりません。

ANAは非航空分野では決済や保険事業や電力自由化に伴う電力分野やドローンを活用した事業まで幅広く展開しています。

この非航空分野の話はとても興味深く読みました。

ANAマイレージクラブ加入者も約3000万人以上いるとされているので、そのユーザーにも日常的にANAとの接点を持ってもらいたいという考えは個人的にも興味を感じる話です。

また社会的な事情で航空機の需要が激減した際の収益源にもなるわけですからいい考えだなと思います。

日経ビジネスの記者が著者なので企業報道、経済報道のプロ集団ですので細部まで取材されていてとても読み応えがありました。

競合のJALと比較しながら紹介されているのが特徴だと思います。

航空需要が戻りつつありますが、航空分野非航空分野の展開が気になります。

 

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