新型コロナウイルス感染症が2021年現在も流行しているなかで、公共交通機関は打撃を受けていると思われます。
中でも航空業界はその影響が大きいのではないかと思われます。
今回読了した本は航空業界の事を知るには適した書籍だと思います。
日本の大手航空会社の日本航空(JAL)と全日本空輸( ANA)の両社の違いについての解説がテーマであり、歴史や社風やサービスなどを比較しながら今後の航空業界のあり方について考察していく作品です。
以前にも同じようなテーマの書籍を読んだことがありますが、この作品は両社の社風に関する解説が丁寧にされていた感じです。
JALと ANAの両社の社風が知りたくて読んだわけですから大変参考になりました。
近年 ANAが規模を拡大していくなかでもともとフラッグキャリアであったJALを追い抜いていきました。
野党時代の自民党に ANAが近づいて距離を縮めているなんていう記事を読んだことがあり、政府専用機の整備を政府から委託されるようになったりと注目を浴びているわけですが、それと同時に国際線の路線拡大にも積極的に取り組んでいる様子も紹介されています。
この本読んで初めて知ったのですが、昭和の時代はJALのみが国際線の運行を行っていたということは意外でした。
JALも平成に入ってから経営破綻などを経験して乗り越えてきていますが、やはり危機の乗り越え方や経営戦略は両社の社風が影響しているということがなかなか面白いと思います。
ANAは生粋の民間企業ですので開拓精神やらJALに対するライバル意識が非常に強いようですので、規制が撤廃されるとどんどん国際線に参入したり日系航空会社では導入されてこなかったエアバスの機種を導入してハワイ線の需要を拡大させてJALを驚かせたりしている一方で、JALはなんとなく官僚的なイメージが昔からありましたがもともと国策で設立された半官半民企業ですので、経営再建後は変化したのかもしれませんが、役所のような体質で経営してきたことがこの本を読んでよくわかりました。
また2018年に出版されていますので、2020年の東京オリンピック、パラリンピックで得られる収益予測に関しては真逆の結果となってしまい感染症のパンデミックの影響も今後数年は続き航空業界にとっては厳しい状況だと思いますが、両社の歴史を振りかってみても様々な試練を乗り越えた実績があるので、とは言ってもこの感染症のパンデミックは過去に経験したことがないのでなかなか厳しいと思われますが、航空会社は非常に重要な公共交通機関ですので、残り続けてもらいたいと感じます。
両社の社風を知りたいという就活生のような動機で読んだ書籍ですが、同じ業界なのに大きく違う部分があり就活生ではなくても楽しく読めるのではないかと思います。