昔官僚を相手にお酒や現金の提供をして接待をしていたとして「居酒屋タクシー」として問題になっていたことをご存知の方も多いことでしょう。
以前ニュースアプリを見ていたら今回読了した「いつも鏡を見てる」の居酒屋タクシーの章を抜粋して紹介されていた記事を読んで興味を持ち読んでみることにしました。
物語はオイルショック時の京都のタクシードライバーやバブル期の東京のタクシードライバーやリーマンショックや新型コロナウイルス感染症流行など社会情勢に奔走されるタクシードライバーが主人公として描かれています。
私は普段タクシーを利用することがあまりないのですが、タクシーは様々な事情を抱えた乗客が利用して世相が反映されやすい交通機関だということがわかりました。
それ故タクシードライバー達は常日頃、社会の鏡を見ているというのがこの作品のコンセプトなのだと思います。
実際のタクシードライバー達を著者が取材して、実話をもとにしているので時事問題に関心のある方なら楽しめる作品ではないかと思います。
またタクシーが舞台ですので、タクシー業界についても知ることができます。
東京都内では個人タクシーでもタクシー会社に所属していても乗務員になる際には必ず東京タクシーセンターが実施する地理テストに合格しなくては乗務員として勤務することができないなどタクシー業界の掟を知ることができます。
私は地方在住ということもあり大分県で農家を営んでいた主人公が家業やめて上京してタクシードライバーになる章はなんだか親近感が湧いてしまいました。
物語は半世紀前のオイルショックの時代から新型コロナウイルス感染症まで幅広く世の中の動きをタクシーを通して見ていくノンフィクションドキュメンタリーの性質がある作品です。