忖度などで相手の気持ちを察したり周りの雰囲気を察するなど長年社会には空気を読むことが求められていました。
昔、KY(ニューヨークではなく)空気が読めないといった意味の造語が流行りましたがそれほど空気を読むことが当たり前の社会風土が出来上がっているようです。
新型コロナウイルス感染症が猛威を振るう昨今においては、以前よりもその空気やら同調圧力を感じることが強くなってきました。
今回読了した、新潮新書の「空気が支配する国」ではその空気や同調圧力のメカニズムについて論理的に解説されています。
コロナ禍が始まる前から、空気を読みながら人々は暮らしてきております。
空気を読むというと日本の社会にだけあるようなイメージがありましたが、これは日本国内だけではなく海外にもある風潮だそうです。
この空気という社会風潮についてあまり関連書籍などを見たことが無かったのですが、昔から研究されている方がいらっしゃるようで関連書籍もあるようです。
その書籍の内容を紹介しながら、戦時中、会社、学校、政治などの幅広いテーマから例をとり実例について紹介されています。
また現実の社会だけではなくインターネットの世界で繰り広げられている言論で起こる空気や同調圧力についても紹介されています。
ネトウヨやパヨクといった存在などです。
右翼や左翼といった政治思想についての解説では私が解釈している政治思想の概念とは少し違った角度から紹介されていたのでなかなか面白かったです。
法律よりも強い権限を持ってしまっている空気には大きな権力を司る政治家でさえも抗うことが出来ない存在だそうでなかなか手ごあい相手であります。
そんな空気について逃れる方法や上手な付き合い方などが最後に指南されています。
新型コロナウイルス感染症が拡大していくなかで、今まで以上に空気といった妙な存在を気にしながら過ごしていかないといけない息苦しい社会ですがこの空気のメカニズムについて把握したうえでその空気との上手な付き合い方などを学ぶことができる書籍なので、このご時世大変参考になると思います。