仕事をしていると、苦労することは多々あります。
そんな時に酔っ払った勢いで今回読了した、講談社+α新書の「男が働かない、いいじゃないか!」を購入してしまいました。
タイトルだけを見ますと働かないことを推奨するような印象を受けますが、決してそうした内容の書籍ではありません。
著者は武蔵大学社会学部で男性学という分野を研究されているようで、この書籍を読んで初めて男性学という分野があることを知りました。
昔は男女で、社会活動における役割分担が分かれていたことが多く、またそれが一般的であるという認識が世間全般に浸透していたと思います。
最近では男女平等といった、性別だけで役割を決めるのではなく個人に重点を置き男性も女性も活躍できる社会の実現に一歩一歩進んで行こうとしている傾向にあります。
しかしまだまだ職場での理解が進んでいないところもあり賛否がある状態だと思いますが、男性が育児休暇の取得を推進したり、或いは昔はあまり定着していない専業主夫を行う男性がいてもいいだろうというように徐々に様々な家族の在り方などが今後も模索されていくことだと思います。
男女平等に関して議論する際に女性の視点に重点が置かれているような感じですが、男性の特徴なども議論に交えなければ成立しないと著者指摘されています。
男性の育児休暇などの制度を設立しても男性特有の社会からのイメージなどが変化しない限り、男女平等または個人に重点を置いた社会の在り方などを実現することはなかなかできないということです。
新卒ですぐに就労してそこから40年近くもの年数を正社員として働くのが当たり前で、少しでも空白の期間を作ってはならないというような社会の風潮や男性は女性をリードしなければならないといったことなど、昔から男性に対するあるべき姿や、また逆に女性の方にも結婚したら家庭を守るべきや、男性を立てなければならないなど性別だけであるべき姿を社会が求めている傾向が昔はかなり今以上に強かったと思います。
最近は性別ではなく個人の個性に視点を向けるべきだとする傾向が出てきています。
社会の当たり前が時に人々に対して圧力になってしまっていることがあるということを社会学の中の男性学の研究者が指摘している書籍です。
決して働かないことを推奨しているわけではなく、時に仕事をしたくないという風に感じることがおかしいということではなく弱音を吐いても容認されるような社会やそれぞれ個人の事情や個性が尊重される社会も大事だということを感じさせられる一冊です。