普段小説はあまり読むことはありませんが、経済小説は何度か読んだことがあります。
経済小説は企業や経済活動を題材にしていることがあるため、リアリティを感じることがあるのでノンフィクション好きの私でも楽しめるので他のジャンルの小説より読んだ経験があります。
今回読了した岩波新書の「企業と経済を読み解く小説50選」では高度経済成長の時代から最近の2010年代までの作品を著者がピックアップした経済小説のブックガイド作品です。
東日本大震災の原子力発電所の事故で浮き彫りになった電力会社の体質を追求する作品の紹介や高度経済成長期に起きたロッキード事件をモデルにした作品や過労死などの労働問題を取り上げた作品など紹介されている作品は多岐に渡ります。
ピックアップされた作品の作家も経済小説のパイオニアでもある城山三郎氏や映画にもなった「ハゲタカ」や半沢直樹シリーズで話題になった池井戸潤氏など非常に幅広いです。
少々ネタバレしているところがあるかと思いますが、著者の見解やその作品の作家さんとの取材時の話やエピソードなども盛り込まれています。
実際にあった事件や出来事を題材にしている作品はストーリーとして構成されているわけですから、ニュース報道等の時系列で出来事だけを報じる形式ではわからない当事者の感情の部分を見ることができるので、報道発表とはまた違った側面を見ることができるのが経済小説の魅力ではないかと感じます。
また経済小説を通して企業のあり方や働くことはどういうことなのかということを、考える良い教材になるのではないかと思います。