第100代内閣総理大臣に就任された直後に衆議院を解散し第101代内閣総理大臣に就任された岸田文雄首相の著書を読ませていただきました。
総裁選などの際に報道等で岸田さんの首相就任後に実現したい政策の話などはあったと思いますが、じっくりと腰を据えて向き合う機会がなかなかないので首相自ら執筆された書籍でご自身の政治理念や政策の話を聞こうという考えで読んでみました。
この「岸田ビジョン」という本は単行本と新書の2種類あり、今回私が読んだのは新書タイプの本です。
単行本と比較するとあとがきなどが省略されるなど編集されていますが、重要な政策や政治理念などの話は盛り込まれています。
総理大臣が執筆した書籍は過去に何度か読んだことがありますが、大体ご自身の実現したい政策や政治理念やご自身の生い立ちが紹介されていて人となりが理解できるような構成になっていることが多いです。
今回の岸田首相の著書も同じような構成で成立しています。
掲げられた政策にある一つにデジタル田園都市構想の話がありますが、この政策は宏池会の大平元総理が提唱された田園都市構想をベースにしていてそこに現代の通信インフラなどのテクノロジーを取り入れて都市部と地方の活性化を実現するという構想だそうで、こう聞くと現代風にアレンジされているとはいえ昔の政治家がやってきたことをそのまま継承しているから相変わらず永田町は昭和のままじゃないかと感じてしまうかもしれません。
昔の政治家が実現できなかったことを達成したいというお考えは世襲議員の特徴なのかなと思いました。
温故知新という言葉もあるわけですから、必ずしも過去に提唱されたことが100%悪いことではないしょうからそれぞれの良さを上手に取り入れてやっていただきたいです。
岸田首相は第二次安倍政権発足後早々に外務大臣就任にされて4年以上の長期に渡り外相を務められました。
外相時代の実績も紹介されていてご自身の聞く力を活かしながらも困難を極める中国やロシアの領土交渉のエピソードなども紹介されていて興味深く読ませていただきました。
現職の首相が執筆された書籍によくあるご自身の生い立ちの紹介もあり、大学入試の挫折や長銀時代の話が紹介されていました。
長銀時代の話はバブル時代や崩壊後の社会を感じられる話で興味深く読んでいました。
長年所属されている宏池会の話も面白かったです。
特に森喜朗内閣に対する不信任決議案の提出をめぐる所謂「加藤の乱」の話を読んでいると政治のドロドロした派閥争いの内幕を知れるので面白かったです。
今はそうした派閥の争い事もあまりないと思います。
岸田首相は聞く力をモットーにして政権運営をされるようですので、あまりご自身の考えを強調されないのではないかと感じますがご自身の著書で様々な考えを知ることができるので、参考になると思います。
また広島県選出の国会議員であるので、核の問題については歴代首相の中でも強い信念をお持ちだと思いますので首相という立場でどこまでご自身の意思を貫けるか今後に注目したいところです。