文部科学省は教育行政を司る中央省庁というイメージが強いですが、科学技術や文化、芸術分野まで幅広く担当している中央省庁です。
そんな文部科学省について教育行政学の専門家である著者が、長年文科省との深い関わりで得た情報を基にご自身の専門である、教育政策をはじめ科学技術政策や学術政策のことについて解説された書籍です。
文部科学省は個人的にはあまり気にしていない役所でしたが(教育行政については誰でも関わりがあるので重要ですが)数年前に医大の不正入試問題があり、その際に文科省の元役人が受託収賄の容疑で逮捕起訴された事件があり、その元役人が科学技術庁出身ということが、話題になりそこではじめて科学技術庁という役所の存在を知り興味が湧いてきました。
2000年代前半に行われた省庁再編の時は幼くてよくわかりませんでした。
城山三郎さんの「官僚たちの夏」がドラマ化されて現在の経済産業省が昔、通商産業省だったことがわかり様々な省庁が他省庁と合併されて現在の形になったということがある程度年齢を重ねてから分かってきたわけです。
文部科学省も旧文部省と旧科学技術庁が合併されて現在の文部科学省という名称になりました。
他の省庁と合併して名前が長くなるなんてメガバンクのような感じですが、科学技術庁の存在を知ってからはあまり深く考えることがなかった文部科学省を意識するようになり、文部科学省の科学は科学技術庁からきているのだということを知りました。
文科省は主に旧文部省の教育分野、学術分野と旧科学技術庁の科学技術政策(宇宙開発、原子力発電)などの応用科学に関する分野を中心に政策が作られていて、文科省の外局にあたる文化庁やスポーツ庁が文化、芸術、スポーツ政策を担う形で組織されています。
文科省について紹介された書籍を探していたところ、この中公新書の「文部科学省」というタイトルの書籍を発見して読んでみましたが教育行政をはじめ学術分野や科学技術政策の現状の課題や他省庁との軋轢や組織や人事の性質など文科省について網羅的に紹介されている書籍などで、「文部科学省」というタイトル通り文科省について理解するのには最適な書籍だと思います。