数年前に静岡県沼津市に本店を置く地方銀行のスルガ銀行が不動産投資に対する不正融資問題が話題になったのは記憶に新しいことです。
通常では考えられない書類の改ざんなど審査部門よりも営業部門の立場が上になってしまい非現実的な融資がまかり通る状態になってしまいました。
それと同時に過剰なノルマを要求されて銀行内でのパワーハラスメントが行われるなど職場の雰囲気も悪化してしまう事態が公にされました。
地方の人口が減少していくなかで地方銀行の経営は悪化の一途を辿っていますから、スルガ銀行の問題は氷山の一角だと思います。
もっと言えばメガバンクをはじめとした金融機関全体にも言えることではないでしょうか。
今回読了した日本経済新聞出版社が出版した「地銀波乱」という書籍は、日本経済新聞社の記者が地方銀行の現状を取材した内容を一冊の本にまとめた物です。
私は地方で暮らしていますので地方銀行との取引があるのでこちらの書籍が気になり購入しました。
菅政権になってから地方銀行の統合の話が浮上し始めて注目を浴びていますが、それ以前から地銀の経営統合の報道は頻繁に見かけるようになりました。
メガバンクといった大手銀行などはバブル経済崩壊後、経営統合が積極的に行われて現在の形になりました。
従って銀行名が少々長くなっているのはその名残なんですね。
今、窮地に陥っている地銀の事業内容や経営課題などを紹介しながらこの局面を打開している金融機関の取り組みなども紹介されていて
現在の地銀の現状を把握することができます。
金融業というと免許事業のイメージがありましたが、最近は金融とは関係ないIT業界なども金融業に参入する動きが見られるようになり金融機関の置かれる状況に変化が生じてきています。
金融機関の事業は今大きな転換期を迎えています。
こうした中で地方が困窮していく社会で地銀がこれまで培ってきたノウハウを生かしながら新規参入事業者にはない地銀ならではの能力でこの局面を乗り越えていくしかありませんね。
金融機関の話は多くの人に影響があることだと思いますので地銀のこれから、或いは金融業のこれからを考える上では大変参考になる書籍だと思います。