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地方在住の読書好きで主に通勤電車内で読書をしております読んだ本の内容を整理するためにブログを開設いたしました。 新書を中心に気になるテーマの書籍を読みながら読書Lifeを過ごせたらと思います。

捨てられる銀行3「 未来の金融」計測できない世界を読む 講談社現代新書 を読了しました。

AI技術が発展していくなかで、これまで通りの経営方針では世間から見捨てられてしまうという話を聞きます。

なかでも金融業界では事務作業の効率化等により人員削減の措置が取られています。

今後益々変革を求められることでしょう。

 

今回読んだ講談社現代新書の、捨てられる銀行 未来の金融「計測できない世界」では、共同通信社経済部に所属する橋本貞典氏が大きな転換点となっている現代そして今後どのようにビジネスを展開していけば見捨てられない金融機関を経営できるのかを模索していきます。

 

著者の取材経験を基に今後の金融機関のあり方についてヒントになるモデルケース紹介されています。

 

これまで銀行というと表面上、視覚で確認できる決算資料などの数字で顧客の善し悪しを判断している印象が強くありました。

しかしそのような機械的な仕事を人間が行なっているようでは、今後クライアントから相手にされなくなります。

 

栃木県にある鹿沼相互信用金庫の取り組みは印象に残っています。

老舗の漬物店でこれまでメイバンクとして取引したのはメガバンクでした。

店主の先代はメガバンクとの取引にステータスを感じていたようです。

ところが東日本大震災の不評被害で売り上げが激減し経営に影響が出てしまったのです。

そのような時にメインバンクのメガバンクは救済に力になってくれません。

そこで地元の鹿沼信金が相談に応じてくれ積極的に集客に力を注いでくれました。

メガバンクの場合ですと全国規模ということもあり、地方の企業の経営支援など、なかなか行なってくれないと思いますが地方銀行などの地域金融機関では親身に支援をしてくれる特徴があります。

 

またそうした地域の金融機関と外部の地元経済団体との連携で過疎化する地域の活性化のためにまさにOneteamとなって地方を盛り上げる取り組みが多数紹介されています。

 

ここ最近のマイナス金利政策や人口減少などの要因で顧客の減少が発生していることを受けて顧客の利益を背くような行為が行われていることも紹介されています。

記憶に新しい静岡県沼津市に本店があるスルガ銀行のシェアハウスの不正融資問題では、審査機能が十分に発揮されず営業部門が権力を握ってしまい、通常では考えられない資料改ざんなどの不正が発覚しました。

こうしたことはスルガ銀行だけの問題ではないように感じます。

著者が強く指摘されていましたが、目先の利益を優先してしまうと本末転倒、将来を見据えることが重要であることが大事なのだと思います。

この急激な時代変化の時に利益が下降していくなかで、目先の利益に走ってしまう気持ちは分かりますが、ここは落ち着いて冷静にならなければなりません。

AIに出来ない人間同士だから分かり合えることを今後、金融機関は今まで以上に模索していく必要があります。

こうしたことは金融業に限った話ではなく様々な業界でも共通することではないのかと感じます。

今後の金融機関のあり方や金融庁と銀行の関係性について紹介されているので、金融業や金融行政について参考になる書籍だと思います。

 

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