働き方改革の必要性が重視されるようになった昨今ではこれまであった、長時間労働が美徳という文化を改善する動きが広まってきています。
なかでも中央省庁が集まる霞が関は長時間労働で有名なところです。
今回読了した新潮新書の「ブラック霞が関」では厚生労働省に勤務されていた著者が所謂キャリア官僚の勤務実態を紹介しながら役所の問題点をクローズアップした書籍です。
以前も官僚の仕事について紹介された書籍は読んだこともあり、多少は理解しているつもりでしたが実際に読んでみると初めて知ったことも多かったです。
最初は国民のために仕事をするという高い志を持って役所に入省したつもりでも過酷な長時間労働で疲弊してしまい離職してしまう若手職員が多くいることは勿体ないことだと感じます。
著者の主張は決して楽をしたいということではなくて公務のやり方の見直しと改善を行うことにより時間に余力ができることの重要性を主張されています。
その余力を国民の為に使うことができればより良い政策の立案や貴重な人材の流出などを防ぐことができるからです。
読んでみると予想もしないほど過酷な勤務であることがわかります。
体調を崩してしまう方も多いようですしこの状態を放置していれば官僚を志す次の世代がいなくなってきてしまうわけです。
以前政治学に関する書籍を読んだ時に日本の公務員の人数は先進諸国と比較すると人数が少ないというデータが紹介されていました。
日本の行政サービスはNPO法人やボランティアが行うことも多いという話を聞いたことがあります。
さすがに100%役所がやればいいということではないと思いますが、民間や外部の専門団体に委託できることは委託してもっと民間との交流を行うことができれば新しい発見ができてより良い政策や法案の立案を行うことができるということは賛同できます。
民間との交流というと過去に色々と不祥事がありネガティブな印象があり現在はあまり行われていないようですが適度に行っていただきたいです。
役所の中ばかりにいては自分達が立案した法案や政策の供給者である国民に本当に効果があるのかわからなくなってしまうから大事なことだと思います。
著者である千正さんの情熱は充分伝わってきます。
役所のことは誰にでも関係あることなのでこの書籍は誰が読んでも有意義な作品であると思います。
特に永田町の先生方に読んでいただきたい作品です。