2013年夏にTBS系列で放送されたドラマ「半沢直樹」がヒットしました。
当時金融機関に多少の興味がありましたので視聴していましたが、あんなに社会現象になる程ヒットするとは思ってもいなかったです。
今回読ませていただいた文春文庫出版「ロスジャネの逆襲」はその半沢直樹が、東京中央銀行から系列子会社の東京セントラル証券に出向した後の物語です。
IT企業の電脳雑伎集団が別のIT企業である東京スパイラルの買収を行う際に電脳雑伎集団の社長夫妻が東京セントラル証券に対して、企業買収のアドバイザーを依頼するところから話しが始まります。
しかし東京セントラル証券は東京中央銀行の系列子会社である為、プロパー社員は少なく殆どが、東京中央銀行からの出向組で成り立っています。
その関係からか親会社の東京中央銀行に情報が漏洩してしまいます。
情報を漏洩させてたのは、やはり東京中央銀行出身の人間です。
その後東京中央銀行に電脳雑伎集団のアドバイザー契約を横取りされてしまいます。
しかし電脳雑伎集団のメインバンクは東京中央銀行なのに、なぜわざわざ銀行の系列子会社にアドバイザー契約を持ちかけてくるのかという疑問が半沢の脳裏によぎります。
それなりの理由があって敢えてメインバンクの東京中央銀行ではなく東京セントラル証券なのか、その理由を半沢が東京中央銀行と対立しながらも自分の信念を貫き通し、電脳雑伎集団の思惑を見破り窮地を乗り切ります。
またタイトルにロスジャネとありますが、物語にある東京セントラル証券の管理職や役員は、親会社の東京中央銀行からの出向組が担っています。
その部下にあたる社員がロストジェネレーション(就職氷河期世代)です。
バブル崩壊後に社会に出た世代で、大量採用のバブル世代が丁度、上司にあたり、真逆の時代を過ごしてきたロスジャネ世代の部下達は、そんな銀行から降りてきた冴えない上司に反感を抱いています。
半沢はその部下達とも真剣に向き合い対等な目線でアドバイスをしていく姿が印象に残ります。
恰も自分が説得されているような気分になります。
そうした半沢の姿勢に部下達も心を開いて仕事の意味を自分なりに見出していきます。
来年の春にこの作品がドラマ化されるということなので、楽しみにしています。