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地方在住の読書好きで主に通勤電車内で読書をしております読んだ本の内容を整理するためにブログを開設いたしました。 新書を中心に気になるテーマの書籍を読みながら読書Lifeを過ごせたらと思います。

講談社文庫の「竹中平蔵 市場と権力」佐々木実氏著を読了しました。

平成の時代に規制改革や構造改革郵政民営化など平成の経済史を見ていく上で非常に重要な政策を小泉政権下で民間から登用された閣僚が実務を担いました。

その人物は竹中平蔵氏です。

竹中さんというと何か発言する度にネット上を中心に四方八方からバッシングされていのが印象的です。

なぜそんなに竹中さんがバッシングされているのか気になっていました。

竹中さんが閣僚をされていた当時私は小学生だったので、名前と顔ぐらいしか知らなかったです。

竹中さんが出演されている番組を何度か視聴しているとなんとなくその理由が分かってきました。

しかし毎回バッシングされてもご自身でYouTubeチャンネルやSNSも開設されて懲りずにご自分の意見を主張されているのには感心致します。

 

 

そんな竹中さんについて色々知りたくてオンラインショッピングなどで検索していたところ、今回読了した講談社文庫の「竹中平蔵市場と権力」という作品にたどり着きました。

 

竹中平蔵氏にスポットを当てて幼少期から閣僚になるまでのキャリアパスを紹介しながら竹中さんが行ってきた経済政策や、その政策を実行した狙いについて著者の取材を基に紹介されています。

 

かなり具体的に多くの人から得られた証言が紹介されているので、読み応えがあります。

 

竹中さんは大学卒業後に政府系金融機関に勤務して旧大蔵省への出向経験がありそこでの経験が閣僚として必要なノウハウに繋がるのだと思います。

その後米国へ赴任してハーバード大学の客員研究員をされますが、そこでアメリカ人研究者との人脈が広がり竹中さんにとって大きな影響力を受けることになります。

竹中さんは、経済学者や人材派遣会社の経営者や閣僚など幅広い肩書きをお持ちであり表面上は温厚そうに見えますが、内面では相当な野心家だったことが、この本を読んでいてわかりました。

一つ印象に残っているエピソードですと、りそな銀行を経営破綻に追い込んで公的資金を投入することを竹中さんは考えていたようで読んでいて、なぜ公的資金という税金をわざわざ投入したいのか疑問に感じていましたが、その公的資金を投入することにより銀行の株主を保護するすなわち銀行の株券の価値を守るということを行ったわけです。

そうすることにより、「東京株式市場は安全だ」ということを海外の投資家にアピールすることにより海外から日本に投資が集中することにより東京株式市場の株価が上昇する現象を狙っていたわけです。

竹中さんはご自身でお考えになられていることをあまり表に表さない方なので、何を目論んでいるのか周囲が予想することができないので誤解されたり恐れられているから色々と世間からバッシングされるのかなと個人的には思います。

 

平成の経済政策をみる上で小泉政権下の政策は非常に影響が大きいと思います。

小泉首相ご自身は大枠を掲げてその実務は各閣僚が担う形であり、中でも目玉政策の郵政民営化構造改革などの実務は竹中平蔵氏が担ってきたのでその竹中平蔵氏にスポットを当てることは平成の経済政策を振り返る場合非常に重要になるので今回読了した「竹中平蔵市場と権力」は参考になると思います。

 

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