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地方在住の読書好きで主に通勤電車内で読書をしております読んだ本の内容を整理するためにブログを開設いたしました。 新書を中心に気になるテーマの書籍を読みながら読書Lifeを過ごせたらと思います。

中公新書の「リベラルとは何か」田中拓道氏著を読了しました。

社会のあり方や価値観の議論になると保守主義やリベラルといった用語が登場して議論されることが多いですが、その一方で対立の原因になる事もあります。

その保守主義リベラリズムとは一体何なのかということが気になり、中公新書の「リベラルとは何か」というタイトルの書籍を読んでみました。

インターネット上での論争を見ていると何となく意味についてはわかるのですが、政治学の観点からの解説が気になったので硬派な印象がある中公新書で今回読了した書籍を発見したので読んでみました。

リベラルと一括りにしても政治思想は非常に複雑でなかなかわかりにくところもあります。

よく言われているリベラルという意味については、革新的などと表されることがあります。

他には自由主義格差是正などと表される事もあり、奥深い世界です。

この書籍では、リベラルの歴史について欧米と欧州での歴史を紐解き、そして日本ではどのような解釈をされているのかということについて理解していく流れで構成されています。

 

政治思想の話ですが、経済学に関わる事も多く社会科学が緊密に繋がっていることを感じさせられます。

リベラルというと平等や平和主義の考え方が強く印象としてありますが多様性といった人々の選択肢を広げる考え方もありこれを文化的リベラルと表されます。

個人的には文化的リベラルという考え方にとても興味を惹かれました。

またこうした観点からリベラルは自由主義というイデオロギーがありますが、新自由主義という考え方は政府が市場に介入することを極力控えて市場に自由な競争を促すということが提唱されていますが、この考えだと格差是正や貧困対策を強調する従来のリベラリズムとは逆行する部分もあり政治思想の複雑さを感じます。

リベラルとタイトルにありますが、リベラルを見ていくには対立する保守主義についても見ていき比較しなければならないわけですがこの本では、保守主義との比較もされています。

日本では主にインターネット上でリベラル=悪というような構図がありますが、どちらがいいということではなく両方を調和した考え方がいいのだと思います。

この本はネット上で繰り広げられている極端な論争などはないので冷静にリベラルとは何かということを理解していくことの一助になってくれる作品だと思います。

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