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地方在住の読書好きで主に通勤電車内で読書をしております読んだ本の内容を整理するためにブログを開設いたしました。 新書を中心に気になるテーマの書籍を読みながら読書Lifeを過ごせたらと思います。

講談社現代新書の「自衛隊の闇組織秘密情報部隊別班の正体」石井暁氏著を読了しました。

近年地政学リスクというワードを報道でよく見かけるようになりましたが最近に限ったことではなく昔からどこの国も周辺国との摩擦や衝突により戦争や紛争が発生して国難に見舞われた国は数多くあります。

日本でも中国や北朝鮮といった周辺国の脅威に晒されていますが、今のところ国同士の軍事的な紛争には至っておりません。

戦争など国難状態を防ぐには情報収集活動が必要になってきます。

アメリカではCIA(中央情報局)といった諜報機関などがありますが日本でも内閣府や外務省などの役所で情報分析を担う部署は存在しているようですが、海外の諜報機関のように独立していたり目立つことはありません。

今回読了した「自衛隊の闇組織」では共同通信社の記者が別班と呼ばれている表に出てこない情報収集活動を行う自衛隊組織について紹介されています。

2013年に共同通信社配信記事でこの別班の存在について報道がありこの年に国会で議論されていた特定秘密保護法案という国家機密を漏洩した公務員ならびに関係者に対する罰則を処することが可能になる法案の是非について考えてもらいたい一心で報じられたようです。

この別班というのが海外で自衛官が身分を隠して情報収集活動行うスパイのような活動をしているのではないかと思われるようで、スパイ活動が法に触れることから、政府の監督責任に置かれなければならない自衛隊組織ですが非合法なことを政府公認で起こってしまうのは望ましくないので、政府に認識されずに諜報活動を行なっているのではないかとされています。

これはシビリアンコントロール文民統制)を逸脱する行為で問題があるのではないかとされています。

公式発表されている組織ではないので、実在するのかどうなのかということは定かではありませんが、著者が複数の自衛隊関係者や別班OBと名乗る人物から情報聞き出すことに成功しています。

社会には表と裏があるのではないかと個人的は感じるところですが、この自衛隊の別班も社会の裏側の触れてほしくない所にいる組織なのでしょうけれど、自衛隊は国や国民の生命や財産を守る公の組織なので表で見えない所で活動している部署があるということは望ましくありませんが、個人的には少しテンションが上がる話でもあります。

別班の記事が配信されるまでの共同通信社内の様子などはなかなか読み応えがありました。

公式に認めていないことを報道するわけですから様々な葛藤があったと思います。

通常はスクープが報じられると他の報道機関が後追いで取材をして記事の精度が向上していくのですが、そうした動きが見られなかったようで著者は残念に感じられているようですが、それから10年の時を経てヒットドラマとして取り上げられるとは思っていなかったのではないでしょうか。

余談ですが読んでいて酒席の話が頻繁に出てくるので記者はそんなにお酒を飲んでいるのかなと思ってしまったりもしましたが、著者の熱心なジャーナリズムが感じられる一冊です。

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