新聞等で報道されるニュースはその日に起きたことを記事にして報じ終了ということが多いですが、そのニュースの当事者には当然のことながら、その後も人生が続きます。
今回読了した、新潮新書の「人生はそれでも続く」では読売新聞の連載企画を一冊の書籍にまとめたものです。
過去に話題になったニュースのその後が紹介されているので、読んでいると過去の記憶が蘇ることがあると思います。
多摩川に迷い込んだタマちゃんやイスラム過激派組織アルカイダによるアメリカ同時多発テロや熊本県の医療機関で実施された赤ちゃんポストや有名ドラマに出演した元俳優の現在など世間が注目していた、歴史に残る事件のその後を読売新聞社の社会部の若手記者が中心になって当事者からインタビューして記事にしている内容なので興味深い話が多かったです。
民間の放送局が「あの人は今」というようなタイトルで過去に世間から注目された人物を取材して紹介する取り組みは行われてきたと思いますが、活字メディアの新聞社がこのような取り組みを行ったのは珍しいのではないかと思います。
普段の新聞報道では時系列で淡々と出来事の解説が行われていることが多いのでそのニュースに対する理解度が薄く終わってしまうことが多いと思いますが、報道から時間を置いて改めて当事者から取材して当時の感情や捉え方などを聞き出すことにより、深くその出来事について向き合うことができるのが特徴だと思います。
またインタビュアーが若い記者が多くその事件発生時幼かったり、生まれる前ということが多かったので当時を知る人が取材を行う場合とはまた違った視点でインタビューをされているのではないかと感じました。
紹介されているニュースも幅広くユニークなことから他の家族が全員殺害され一人取り残されてしまうという想像しがたい過酷な事件まで
あり、それぞれその事件後の生き方が紹介されているので本当に人生色々と一括りでは表せない程、様々なことを感じます。
その一方で千葉大学が行った飛び入学制度に応募して入学された物理学好きの高校生のインタビューを読んでいると、所謂ポスドクと言われる社会問題になっていることについて向き合わなければならないこともあり、考えさせれる部分もあると感じます。
新聞社が定期的にニュースのその後を取材する企画があるということはこの本で初めて知りました。
今後もこのような取り組みを行っていただければまたニュース記事に対する考え方や捉え方が少し変わるのではないかと思います。