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地方在住の読書好きで主に通勤電車内で読書をしております読んだ本の内容を整理するためにブログを開設いたしました。 新書を中心に気になるテーマの書籍を読みながら読書Lifeを過ごせたらと思います。

小学館新書の「マル暴 警視庁暴力団担当刑事」櫻井裕一氏著を読了しました。

ニュース等で時折暴力団事務所に家宅捜査を行うために事務所の中に入っていく捜査員を見たことがありますが、最初見た時はあれが警察官なのかと疑ってしまったことを今でも覚えています。

警察には捜査一課というサスペンス劇場でお馴染みの殺人などの凶悪犯罪を担当する部署、と捜査二課という詐欺事件や汚職等の知能犯罪を担当する部署と、窃盗など盗みに関する事件を担当する捜査三課と暴力団などの組織犯罪を担当する捜査四課に大きく分類することができます。

今回読了した小学館新書の「マル暴 警視庁暴力団担当刑事」では暴力団などの反社会的勢力が関与する事件を担当している元刑事がご自身の経験を基に暴力団について紹介されている書籍です。

 

暴力団は事件や暴動などが発生して駆けつけた制服の警察官は相手にせずに、暴力団担当のマル暴というヤクザ専門の刑事にしか相手にすることがないようです。

 

ノンキャリアの警察官は採用後警察学校での研修を受けた後、交番勤務を皮切りにキャリア積んでいくのが一般的です。

著者も最初の初任地が赤羽署の交番だったそうです。

昔の赤羽は治安も悪く昭和の時代は今以上に暴力団が多くいたこともあり、暴力団絡みの事件や暴動などが多発していたようで現場に出動することが多かったようですが、なかなか交番のお巡りさんでは事が収まらず反社担当の刑事が到着すると、態度が変わり「お疲れ様です」などと挨拶をするそうです。

その様子を見てマル暴を目指すことにしたようです。

 

著者は数々の暴力団絡みの事件を担当するようになりヤクザからも信頼関係と言ったらおかしいかもしれませんが、人間関係を築いていくことができるようになり、様々な情報を得て多くの事件を担当する事があり、警視庁管轄内で発生する暴力団関係の事件ではほとんど関わりがあるので、暴力団の特性や文化なども紹介されています。

ヤクザが謝罪する時にお詫びのしるしに自分の指を相手に差し出すというなんとも一般人には想像もできないようなことが行われているようです。

読んでいて痛々しかったです。

近年暴力団に対する社会からの締め付けが強くなり、組員が生活しづらい時代になってきています。

それはいいことなのですが、出所後の社会復帰が難しいので、このことは暴力団問わず出所後のケアは大事なんだろうと思います。

著者は警視庁を退職後に組織犯罪や暴力団などによる恐喝に困惑する行政や企業から相談を受けて対応する、事業所を設立されたそうです。

暴力団を排除する社会の傾向はありますが、なかなか組織犯罪は消滅しませんが暴力団とはなんだろうかということを知るのに最適な一冊だと思います。

 

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