近々自宅を売却することになり、しばらくの間、賃貸物件で暮らすことになりそうなので参考にさせていただこうと思い購入してみました。
著者の南野真宏さんは大学入学を機に上京した際に不動産屋から勧められて契約した物件が半地下に等しい部屋だったそうで、そうした苦い経験を回避するために宅地建物取引士の資格を取得されます。
しかし不動産業に従事した際も公私共に訳あり物件に遭遇する機会が多く裁判も経験されているそうです。
それらの経験をしたことにより、この書籍の執筆に至ったようです。
訳あり物件というのは所謂、事故物件が非常に有名だと思いますが、不動産の瑕疵には大きく分けて4つあります。
物理的瑕疵、法的瑕疵、環境瑕疵、心理的瑕疵があります。
所謂事故物件というのは心理的瑕疵というのが多く当てはまるのではないかと考えられます。
著者の南野さんも過去に帝銀事件という悲惨な事件の発生場所に建設されたマンションを契約した経験があり訴訟を起こしたことがあるようでその時の経験談も紹介されています。
瑕疵については不動産屋さんがしっかりと説明してくれる場合も多いようですが、不動産屋の認識というものにも限度があり、必ずしも全ての瑕疵を把握している訳ではありません。
また法的な特徴から説明しなくても良い場合もあるので、知らずに契約をしてしまうケースも多々あるようです。
そうした場合に裁判を行う際の注意点も丁寧に解説されています。
数多くのケースを紹介されているので、敗訴したケースや勝訴したケースを比較することが可能です。
私は賃貸物件の契約での注意点を知りたくて購入しましたが、土地の購入や建物の購入に関する注意点も紹介されているので、不動産業全般の入門書の役割を担っているのではないかと感じます。
不動産取引というと法的なことも関わってくるので、非常に複雑でありますが、数多くのケースを交えながら解説されています。
しかし100%訳あり物件を回避するのが難しいほど数多く存在するので、自分の妥協できる点を見つけて上手に活用する方法も指南されています。
この本を知ったきっかけは著者の南野さんのTwitterアカウントにフォローしていただいて知ることができました。
いつか読んでみようと思っておりましたが、自分が自宅を売却するのを機に、また不動産屋さんにお世話になるのでその参考に読ませていただくなんて思ってもいなかったです。