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地方在住の読書好きで主に通勤電車内で読書をしております読んだ本の内容を整理するためにブログを開設いたしました。 新書を中心に気になるテーマの書籍を読みながら読書Lifeを過ごせたらと思います。

講談社現代新書の「昭和の青春」池上彰氏著を読了しました。

若い世代の間では昭和ブームが起こっています。

レトロなところが新鮮に思えるのかもしれません。

一方で昭和の時代を経験した世代からは懐かしさを感じると思います。

そのためテレビ番組でも昭和の特集番組が放送されることが多々あります。

今回読了した講談社現代新書の「昭和の青春」日本を動かした世代の原動力という本ではジャーナリストの池上彰さんが昭和の時代に何が起きたのかということについてご自身の体験も踏まえて紹介されています。

昭和と一括りにしても戦前と戦後では全然違います。

この本では、1960年代からバブル経済崩壊までの時代の出来事について紹介されています。

まず学生運動について紹介されていて当時は今のようにSNSなどもありませんから実際の社会でみんなで声をあげるしかありませんでした。

時系列で学生運動の始まりから終焉までを見ることができますが、熱心な活動家それほど多くなくほとんどの学生は流行りに便乗しているだけのような感じがします。

その後高度経済成長になり、学生時代に「資本主義反対」なんて主張していた学生たちは営利目的の民間企業に就職してたくさん働き大量消費、大量生産の量産型社会に貢献していきます。

所謂「モーレツ社員」と呼ばれるサラリーマンですね。

 

この本では昭和の出来事について一通り解説されているので聞いたことはあるが誤解していることについても気づくことができました。

よど号ハイジャック事件では「よど号」と名前があるので、船を連想してしまいしましたが飛行機の事件であるということが確認できました。

たまに船と勘違いされる方がいらっしゃるようで、私も勘違いしていました。

ハイジャックと付きますから飛行機に関わることなんですけどね。

その後飛行機のセキュリティ強化がされるきっかけの一つになりました。

 

政治や経済がどのような道を辿ってきたのかということを紹介されている一方で昭和の庶民の暮らしぶりや文化のことについても知ることができます。

後半はそうした昭和の出来事を踏まえた上で今後どのようにしていけば良いのかということについて考えさせられます。

年配の社員が若手に対して「俺たちが若い頃はたくさん働いたからたくさん働け」と助言していますが、それは昭和の右肩上がりの時代だから通用した理屈で令和の時代は昭和と逆行していく社会なので何が社会から需要があるのかについて市場分析をしなくてはならないと思います。

量産型でもありませんし、クオリティーなのかと思いきやそうでもないみたいなので、今後のことは予測が難しいですね。

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角川新書の「サラリーマン生態100年史」パオロ・マッツァリーノ氏著を読了しました。

歴史を振り返る書物は多々ありますが、庶民の暮らしぶりを解説した書籍は少数なのではないかと思います。

今回読了した角川新書の「サラリーマン生態100年史」では、多くの人が経験するであろう会社勤めをしているサラリーマンにスポットを当てて紹介された内容の書籍です。

著者のパオロ・マッツァリーノ氏は自称イタリア人の日本文化史研究家という謎の多い覆面作家が執筆されていて、この方の作品は他にも読んだことがあり面白かったので今回も読んでみました。

主に昭和時代のサラリーマンの生活実情について紹介されていてサラリーマンが経験する満員電車での通勤に関することや出張事情やマイホームに住宅ローンや休日の過ごし方まであらゆることがユーモアを交えながら紹介されています。

端的に読んだ感想を申し上げるといつの時代も人々が考えていることや感じていることは、同じなんだなと思いました。

昭和の時代を経験しているベテランサラリーマン達は、「昔は寝る間も惜しんで24時間働いていた最近の若者は全然働かない根性のない奴らばかりだ」と豪語する人はたくさんいらっしゃいますが実際のところはそうでもないことが昭和時代の新聞記事や文献などから明らかになっているようです。

確かに昭和の時代はモーレツサラリーマンという言葉が存在していたので勤務時間が多かったと思いますが、当時も活気がない若手社員は存在していたようですから、今の若手とそんなに差はないと思います。

時代が進むにつれてテクノロジーも発達して昔よりも効率的に仕事が処理できるようになったりと良い面は多々あるでしょう。

この「最近の若者はダメだ俺の若い頃はすごかった」というフレーズは古代エジプトの時代から言われ続けていることでジェネレーションギャップというのでしょうか、世代間格差ができた時点で発生する現象なんだと思います。

 

歴史を振り返るといった内容の書籍は国全体の動きなどマクロな視点にスポットを当てた書籍が多いと思いますが、サラリーマンという身近で尚且つ多くの人が経験する存在に焦点を当てた作品はあまりないと思いますので、大変面白かったです。

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ちくま新書の「科学報道の真相」瀬川至郎氏著を読了しました。

新聞には科学面があり科学技術や医療に関する記事が日常的に報道されていますが、科学分野が世間から注目されるのはノーベル賞の受賞や画期的な技術の開発や新しい自然現象が発見された時に限定され普段はあまり意識することが少ないのではないかと思います。

新聞は主に政治や経済、社会面を中心に報道されているので科学分野は日頃は注目されることはありません。

科学面の記事は執筆している記者が噛み砕いて解説されているので専門書等で奥深く学ぶよりは気軽に科学に触れられるいい機会なのではないかと個人的には感じますので、科学面に対する関心は結構ある方です。

今回読了した「科学報道の真相」では毎日新聞社で実際に科学報道に携われた元記者でジャーナリズムの研究者がご自身の経験を基に科学報道について解説した内容の書籍です。

この本では最近科学報道で社会から大きく注目された東京電力福島第一原子力発電所の事故報道やSTAP細胞報道の問題点について解説されています。

福島第一原子力発電所の報道では東電や政府の発表をそのまま流す「大本営発表」という紹介がされていましたが、なぜそうなるのかということが解説されています。

当事者や公的機関が発表したことを流すのは大事なことですがSTAP細胞の報道の際には研究者や理化学研究所の発表流し尚且つ研究成果を高く評価したにも関わらず研究成果が虚偽だったと明らかになった瞬間に手のひらを返したように大きなバッシングを展開するマスメディアのスタンスには疑問を感じました。

マスメディアというのは発表者側とオーディエンス(読者や視聴者)の間のフィルターのような役割を担う必要があるのではないかと思います。

しかしSTAP細胞の報道ではそうした機能が果たされていなかったのではないかと感じます。

海外の科学報道と比較するとあまり研究内容に重点が置かれていないのではないかという指摘もあり研究内容に対する理解を促進するために研究者の人柄といったヒューマンストーリーの話を盛り込むことも大事ですが、そちらの方に重点を置き過ぎた感じは否めません。

後半では所謂ジャーナリズム論の話が中心になり客観報道は可能なのかといった話などが中心に展開されています。

ジャーナリズム論を語った書籍は何度か読んだことがありますが、科学分野におけるジャーナリズムを紹介された書籍は初めて読みました。

報道における科学に注目することがあまりないのでこうした書籍を読むのもいい機会ではないかと感じます。

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光文社新書の物理学の野望 「万物の理論」をを探し求めて 冨島佑允氏著を読了しました。

自然界で起こる現象にはいまだにその法則を発見できていないことも多々あります。

特に宇宙空間における現象に関してはまだまだ未知の領域が存在しています。

今回読了した、光文社新書の物理学の野望「万物の理論」を探し求めてでは、物理学の歴史を辿りながら自然現象がどのようにして解明されたのかということを知ることができます。

物理学史の初頭の頃は観測機器や実験道具などはないため哲学的観点から自然現象の法則について導き出していました。

古代ギリシャの時代に活躍したアリストテレスといった哲学者が学術研究を担っていたので哲学者の主観で自然現象について語られていました。

実験等を行いデータを収集する現代の科学探究とは異なる哲学中心の手法を天動説と呼ばれていました。

こうした歴史を辿ると各時代にどのような考え方で研究が行われていたのか、当時の人々がどのように自然現象を捉えていたのかということを知ることができるので、とても面白いことだと思います。

その後は望遠鏡など観測機器の誕生によってガリレオの時代から理論中心の考え方である、地動説が有力になっていきます。

万有引力微分積分を発見したことで知られるニュートンの登場によりさらに物理学は発展していきます。

 

アインシュタインやマックスプランクの登場により、量子力学相対性理論といった現在の物理学の礎が出来上がりました。

量子力学というと現代でも量子コンピューターなどよく聞きますので研究が盛んに行われているのだと思います。

この書籍では物理学をテーマにすると数式を使って説明さられることが多いことが特徴ですが、数式などほとんど使用せずなるべくわかりやすい言葉で解説されています。

理工系の書籍は横字で書かれていることが多いのですが、縦字で書かれているので珍しく感じました。

物理学は普段なかなか接する機会があまりないので、物理学の歴史について新書で平易に紹介されている本があることはありがたく感じます。

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平凡社新書の「若者の読書離れというウソ」飯田一史氏著を読了しました。

11月になり秋も深まったはずですが、2023年の秋はまだまだ暑い日が続いておりますが、文化の日もあり読書について考えるきっかけになる時期ではないだろうかと感じる今日この頃に最適な本を読了しました。

若年層の特に中高生を中心にスポットを当て、読書に関するテーマで最近の若い世代はどのような読書ライフを送っているのかを紹介した内容の書籍です。

マスメディア等を中心にインターネットやSNSなどの普及による印象なのかもしれませんが、最近の若者は読書をしないという論調が定着されておりますが、実際はどうなのかということが様々な統計データを紹介しながら世間の印象と実情を比較しています。

1980年代後半から1990年代までは若い世代を中心に読書離れが進んでいましたが、2000年代以降改善されて読書をする中高生が増加しました。

読書離れが進むことにより中高生の読解力の低下が懸念されるようになり、これを受け文部科学省が義務教育を中心に朝読書の時間を設ける施策を行なったことにより小中学生の読書習慣が身につき不読率は減少傾向になりました。

しかし昔のイメージが払拭されていない関係で長らく若者の読書離れが騒がれ続けています。

前半部分は中高生である所謂Z世代の読書の実態について統計データを用いて紹介され世間のバイアスがある見方によって本を読む若者がいないという印象があるだけということがわかります。

その後はそのZ世代がどんな内容の本を読んでいるのかということが紹介されています。

大人が読んで欲しいと思う本と子供が実際に読みたいという本が異なるので、そういったことからも若者に対する不必要な批判が行われてしまっているようです。

しかし若い世代がどのような内容の本を読んでいるのかということを把握することはとても有意義なことなのではないかと感じます。

この本は大人の世代と若者のZ世代との間にできてしまった乖離を埋めるために有用な書籍だと思います。

世代問わず書籍をはじめ活字を読むことを習慣にすることはとても大事なことではないかと感じます。

私も中学生で朝読書をするようになってから本を読むようになりそこから様々なことに対して興味や関心の幅が広がってきたと感じます。

内容やテーマに関係なく活字を読む時間があると心身共にリフレッシュができたり物事の捉え方が変わってきたりと効能は多いかと思います。

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講談社現代新書の「自衛隊の闇組織秘密情報部隊別班の正体」石井暁氏著を読了しました。

近年地政学リスクというワードを報道でよく見かけるようになりましたが最近に限ったことではなく昔からどこの国も周辺国との摩擦や衝突により戦争や紛争が発生して国難に見舞われた国は数多くあります。

日本でも中国や北朝鮮といった周辺国の脅威に晒されていますが、今のところ国同士の軍事的な紛争には至っておりません。

戦争など国難状態を防ぐには情報収集活動が必要になってきます。

アメリカではCIA(中央情報局)といった諜報機関などがありますが日本でも内閣府や外務省などの役所で情報分析を担う部署は存在しているようですが、海外の諜報機関のように独立していたり目立つことはありません。

今回読了した「自衛隊の闇組織」では共同通信社の記者が別班と呼ばれている表に出てこない情報収集活動を行う自衛隊組織について紹介されています。

2013年に共同通信社配信記事でこの別班の存在について報道がありこの年に国会で議論されていた特定秘密保護法案という国家機密を漏洩した公務員ならびに関係者に対する罰則を処することが可能になる法案の是非について考えてもらいたい一心で報じられたようです。

この別班というのが海外で自衛官が身分を隠して情報収集活動行うスパイのような活動をしているのではないかと思われるようで、スパイ活動が法に触れることから、政府の監督責任に置かれなければならない自衛隊組織ですが非合法なことを政府公認で起こってしまうのは望ましくないので、政府に認識されずに諜報活動を行なっているのではないかとされています。

これはシビリアンコントロール文民統制)を逸脱する行為で問題があるのではないかとされています。

公式発表されている組織ではないので、実在するのかどうなのかということは定かではありませんが、著者が複数の自衛隊関係者や別班OBと名乗る人物から情報聞き出すことに成功しています。

社会には表と裏があるのではないかと個人的は感じるところですが、この自衛隊の別班も社会の裏側の触れてほしくない所にいる組織なのでしょうけれど、自衛隊は国や国民の生命や財産を守る公の組織なので表で見えない所で活動している部署があるということは望ましくありませんが、個人的には少しテンションが上がる話でもあります。

別班の記事が配信されるまでの共同通信社内の様子などはなかなか読み応えがありました。

公式に認めていないことを報道するわけですから様々な葛藤があったと思います。

通常はスクープが報じられると他の報道機関が後追いで取材をして記事の精度が向上していくのですが、そうした動きが見られなかったようで著者は残念に感じられているようですが、それから10年の時を経てヒットドラマとして取り上げられるとは思っていなかったのではないでしょうか。

余談ですが読んでいて酒席の話が頻繁に出てくるので記者はそんなにお酒を飲んでいるのかなと思ってしまったりもしましたが、著者の熱心なジャーナリズムが感じられる一冊です。

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中央大学出版部の「高校生からの商学入門」を読了しました。

昔、社会科学に興味があり社会科学系のテーマの書籍をよく読んだりしましたが、その時に商学部と経済学部の違いとは何なのか疑問に感じたことがありました。

そこでネットショッピングを見ていたところ今回読了した、「高校生からの商学入門」というタイトルの書籍を発見して、読んでみることにしました。

 

この本は中央大学商学部の教授陣が進路選択をしている高校生にわかりやすく商学とは何か商学部で何を学んで研究を行うのかということを解説した内容です。

読者対象は高校生に限らず社会人が読んでも楽しめるようになっています。

また高校生向けというコンセプトなので平易に解説されていて読みやすいと思います。

商学部と経済学部における研究分野はとても密接になっているので似たような印象を受けやすいと思いますが、個人的な見解としては経済学部では国の経済政策や貿易などマクロな視点で経済を分析するイメージがあり、商学部では個人が関わるマーケットや企業経営に関わることなどミクロな視点で経済学部より個人の生活に近い領域を研究している印象があります。

 

商学部も経済学部も多少視点が異なるかもしれませんが、経済学を取り扱う研究を行っていることは共通していると思います。

中央大学商学部では経営学科、会計学科、商業貿易学科、金融学科から構成されており、各分野の教授が日常の場面を例に挙げながら一つの商品の開発に至るまでのメーカー企業の戦略やお店を経営するにはどうしたら良いのかといったことや物流の仕組みを挙げながら貿易の成り立ちについて紹介されたり企業経営に非常に大事とされている会計や決算資料の読み方についての解説がされていて世代問わず必要な情報が基礎レベルで学ぶことができます。

ある一定の学問について書籍で読もうとするとかなり分厚い上級者向けではないのかと思われるような書籍が多く入門として読むにはハードルが高いような気がしますが、高校生を対象に作られた内容なので入門としては読みやすく気軽に触れることができる書籍だと思います。

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