今年の夏に映画「新聞記者」を鑑賞してきました。
この映画の原案となった、東京新聞社会部所属の望月衣塑子記者の著書、角川新書「新聞記者」を読ませていただきました。
菅官房長官の記者会見で、話題を集めた望月記者の生い立ちからジャーナリストを志した経緯を紹介した書籍です。
自伝という印象を受けます。
読みどころのポイントは、日頃行われている菅官房長官の会見や、森友学園や加計学園の取材活動の裏側が紹介されているところです。
正義感が強く芯も強い方なので、色々なところで苦労されているのが読んでいて伝わってきます。
汚職の取材活動中に検察庁から事情聴取を受けた際も心が折れそうになったが、上司から叱咤激励受け、なんとか乗り切ったようです。
この本を読む前に望月さんのプロフィールに社会部に所属していると記載があり社会部でも官邸で官房長官の会見に出席することが可能なのかと疑問に感じましたが、東京新聞ではすんなりと許可が出たようです。
他社ならなかなか許可は出ないのかもしれませんが、東京新聞では他社よりも部署間の壁がそれほど高くないのかもしれません。
また地方ブロック紙で活躍していると全国紙から引き抜きのオファーがあったようですが、望月さんも讀賣新聞からのヘッドハンティングの話があったようですが、悩んだ末に断ったそうです。
新聞は社によって主張が異なるので、記者の気質などに多少違いがあるのかもしれませんから讀賣新聞に移籍されていたら今の望月さんはいなかったのではないかなと感じてしまいます。
ジャーナリストは社会の出来事を報じる訳ですから、そのジャーナリストに対する評価には賛否両論ありますが、色々な記者がいていいのでないのかなと感じます。
ここ最近の報道の世界では特に政府に対する取材スタンスが消極的になりがちではないのかと指摘される部分もあるわけです。
そうしたなか数多くのジャーナリストたちが集まり今後のジャーナリズムのあり方などが議論されているようです。
普段はライバル関係にある他社の記者と議論を重ねながら今後のマスメディア業界のビジョンを話し合っていくことは大事なことだと思います。
望月さんご自身もお感じになられていることですが、いち新聞記者がこれほど注目を浴びるのに違和感を感じます。
物事の真相を知る為に積極的に取材対象者に対して質問を行うという、記者としてごく自然なことなのかもしれませんが、異質な光景を見ているような世間の視線には不思議さを感じます。
取材を行うということはそれなりの配慮が必要な所もありますが、開示されるべき事が闇に葬られることがないことを願います。