ここ最近ネトウヨ等の言葉をよく聞くようになり政治思想が極端に右傾化しているといった話を聞きます。
今回読ませていただいた、朝日新聞出版から出版された朝日新書の「朝日ぎらいよりよい世界のためのリベラル進化論」タイトルに朝日ぎらいと記載されておりますが朝日新聞について批評された書籍ではありません。
ここ最近の世界と日本の政治思想の動向が紹介されております。
読んでみて驚いたのは保守主義やリベラリズムといった政治思想の意味が本来とは逆転してしまっているといことには驚きました。
世代別政党のイメージを調査した統計よると年配の世代からすると共産党や社民党がリベラル政党で自民党が保守政党とのイメージがあるようですが、一方の若い世代のイメージではこの真逆の結果になっています。
立憲民主党の枝野代表が国会で今の自民党に対して改革、改革と保守政党の考えることではないと批判しておられます。
現在の自民党が憲法改正や働き方改革等のありあらゆることに対して改革意欲を示しているのに対して野党政党が反対ばかりしているので本来のイメージが逆転してしまうのも仕方がない気もします。
また民主党政権時代には、ねじれ国会という状態もあり政治が進んでいる印象があまり無かったでしょうから、今の自民党が多少強引ですが次々に公約に掲げた法案を通している状況が良く見えてしまうのでしょう。
そういった観点からすると今の若い世代からの自民党に対する高い支持というのも理解できます。
伝統を重んじて改革を望まない保守思想である自民党を若い世代が高く評価しているのを以前から気になっておりましたがこの本を読んで謎が解けました。
他にも海外で生物学的観点から政治思想に着目した研究成果も紹介もされていたり多角的に政治思想についてアプローチされています。
またレイシズムや今インターネットの世界で話題になっているネトウヨについても紹介がなされています。
著者はリベラリストようなので本来のリベラルの思想に基づいてリベラル政治とは何かということについても言及されています。
朝日ぎらいの構成は以下の通り
・安倍政権はリベラル?
・「ネトウヨ」とは誰のことか?
・「保守」はなぜ「リベラル」に勝つのか?
・きれいごとはなぜうさん臭いのか?
・リベラルはなぜ金持ちなのか?
・リベラルと保守は遺伝する?
・AI時代、未来のリベラルはどうなる?
世間からはリベラル思想がかなり嫌われているようですが、本来の意味からしてもリベラルや保守といった政治思想はどちらも悪くなくどちらかに偏り過ぎなければ良いと私は感じます。
この作品は著者がリベラリストということもありリベラル思想とは何かということについて重点的に紹介されておりますので今の政治状況も踏まえながら読むと新しいこれまでとは違った見方が出来るのではないでしょうか。