2020年現在から遡ること、35年前の8月12日の夕刻に日本航空の巨大ジャンボ機が群馬県の山中に墜落した未曾有の事故が発生しました。
それ以降日本の航空会社が大規模な事故を発生させることは無くなりましたが、世間に大変大きなショックをあたえたことは間違いありません。
今回読んだ平凡社新書の「日航機123便墜落最後の証言」では共同通信社に勤める著者が米国特派員時代にボーイング社の事故当時の社長や米国の事故調査官の取材や日本国内の関係者の取材をもとにまとめあげた書籍です。
共同通信社の記者が執筆された書籍なので興味があり購入しましたが、私自身ドキュメンタリーなどで日航機墜落事故の特集を見たことがありますがあまり知識がないので、活字としてじっくりと読むことが出来たのは非常に貴重な体験となりました。
日本の運輸省の事故調査委員会がまとめた事故原因は事故機製造メーカーのボーイング社の修理ミスが原因とされていることはこの本を読むまで知りませんでした。
事故を起こした同じ機体が数年前に大阪空港でしりもち事故を起こして、その際に機内の気圧を調整する設備である圧力隔壁が破損しその修理を行ったのが製造メーカーであるボーイング社で、その際の修理ミスが123便の事故原因であるというのが日本の事故調の見解であり、有力説であるとされています。
著者ご自身もこの説を有力視しているようですが、これだけの未曾有の大事故になったわけですから他にもいくつか説がありそれらの紹介もされています。
そのなかでも私は個人的に信じられないが、自衛隊による撃墜説などがあります。
自衛隊が撃墜する理由を知りたいです。
コックピットのボイスレコーダーの音声記録ではパイロットが酸素マスクをせずに対応にあたっているので、機内の気圧が低下していないので圧力隔壁の問題ではないのではないかという見方もあったり未だに謎が多いです。
先程も触れましたが、著者は米国で特派員を経験されているので日米両国の関係者から取材をしてまとめられているのが特徴です。
なので米国と日本の事故対応の違いや法律の違いなど比較できるところも大変参考になります。
読んでいて感じたのがボーイング社が意外とあっさりと自分達の非を認めているのが驚きました。
日本では結果論重視と言うでしょうかね、故意だろうとそうでない場合でも業務上過失致死罪などの法律がありますが米国にはありませんので故意に行った事故じゃなければ罪に問われない傾向にあるようです。
そこら辺に違いあるので両国の対応に違いがあるのでしょう。
他にも海外の航空事故の紹介もあったり著者の入念な取材活動の結果を書籍にまとめられているので、あまり日航機墜落事故について知らない場合でも大変参考になる書籍だと思います。