近頃豪雨や猛暑といった異常な天候が続き気象情報が欠かせない昨今です。
それらの気象現象を分析し随時発表しているのが気象庁です。
その気象庁の歴史について紹介されているのが今回読ませていただいた中公新書の「気象庁物語」です。
歴史を辿ると1875年に虎ノ門の高台に誕生した東京気象台から始まり戦争や幾度の災害のたびに技術改良を行い今現在の気象庁へと成長していきました。
戦時中の軍部とのやりとりのなかでも当時の気象台のポリシーを強く主張するエピソードなどが紹介されているのは印象的です。
また今現在では当たり前にある宇宙からの人工衛星による観測も気象台発足当初はない為、富士山山頂で観測を試みたのが野中到夫妻でしたが、極寒の地での観測作業は過酷であるが故に途中で断念せざる負えなかったがその後、野中氏の意思を引き継いで富士山山頂にレーダー観測所を設立するなど気象技術に発展することに至りました。
このエピソードはドラマにもなり日本の気象史では有名な話だと思います。
日頃の気象情報で重要になる数値予報ですがそれに欠かせないアメダスの設立の経緯なども紹介されていて面白いと思います。
また海外の気象行政と日本の気象行政の比較がされている他、気象分析技術の向上により民間企業が参入する時代になっている為気象庁の役割りが徐々に変化し始めているとのこと。
本の構成について以下の通りです。
第1章 東京気象台の創設
第2章 日露戦争と室戸台風 1 日露戦争と天気予報 2 室戸台風と新しい情報提供体制
第3章 太平洋戦争 1 戦う中央気象台 2 風船爆弾プロジェクト コラム 「天気野郎」の気風
第4章 海は荒れて 1 北方定点(ポイントX)で漂泊せよ 2 洞爺丸の遭難
第5章コンピュータ時代の到来 1 ラジオゾンデ 2 超大型コンピュータの輸入と数値予報の幕開き 3「富士山レーダー」の建設 3 アメダスの登場
第6章 地震 津波 火山 1 地面の揺れを見張る「目」2 津波が到達する前に 3 火山噴火は予知できるか
第7章 気象衛星「ひまわり」の打ち上げ
第8章 今日の気象サービス 1 花開く数値予報 2 民間の参入 3変わる気象庁の役割
第9章 地球温暖化、異常気象
日本では年間を通して豪雨や活発な火山活動の影響や地震といった災害が多く発生しています。
それらの事象を行政レベルで分析を行なっているのは海外を見ても非常に珍しいことのようです。
そんな気象庁の歴史について関心を持ってみるのもいいと思います。