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地方在住の読書好きで主に通勤電車内で読書をしております読んだ本の内容を整理するためにブログを開設いたしました。 新書を中心に気になるテーマの書籍を読みながら読書Lifeを過ごせたらと思います。

岩波新書の「日米核同盟」太田昌克氏著を読了しました。

ロシア軍によるウクライナ侵攻を受けて日本国内でも、自民党から米国との核の共同運用に関する議論を促す動きがあります。

日本では1945年8月6日に広島県と同年8月9日に長崎県に於いて原子爆弾が投下され甚大な被害が発生しました。

その他にも静岡県焼津市のマグロ漁船、第五福竜丸が1954年3月1日にマーシャル諸島ビキニ環礁で米国が行った水爆実験で被害を受けました。

そして平成の時代に入り2011年3月11日に発生した東日本大震災における東京電力福島第一原子力発電所の事故による放射性物質の飛散事故など日本国内においても多数の核の被害が発生しているなかで、核の共同保有に関する話があり核をテーマにした書籍を読んでみたくなり、岩波新書の「日米核同盟」を読んでみました。

著者は共同通信社編集委員をされている、太田昌克氏です。

民放の報道番組にもコメンテーターとして出演されているので、ご存じの方も多いのではないでしょうか。

太田さんは共同通信社へ入社後広島支局での勤務を皮切りにワシントンなどでの勤務も経験されています。

その為米国での人脈も豊富だと思われますので今回核をテーマにしていて、なかでも日米との同盟関係の取材をまとめているのがこの本の特徴だと思います。

 

印象に残っているのは、日米における核の密約に関する紹介は興味深い内容でした。

日本では非核三原則という核を(持ち込まず、作らず、使わず)といった三つの決まり事がありますが、日米との間で密かに核を持ち込まずに該当する核を搭載した艦船や航空機の通過や寄港を黙認する、取り決めを行っていたことが紹介されていました。

その密約を歴代外務事務次官がメモ書きしてそれを共有して密約を守り抜いた話があり、実際に外務事務次官経験者の取材に成功されていてそのインタビュー内容も紹介されています。

 

その他、核については福島原発の事故以来国内のエネルギー政策に関する議論が活発に行われるようになり、原発を使用する際に発生するウランやプルトニウムの処理問題についても経済産業省や電力会社同士での軋轢など多数問題を関係者の取材を通して綿密に解説されています。

 

主にタイトル通り日米の核に関する歴史や関係者への取材結果がまとめられていて読み応えがある内容となっています。

ロシア軍によるウクライナ侵攻受けて核に関する議論が行われようとしていますが、核について考える一助になる書籍だと思います。

 

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