文系や理系というと大学受験を経験されたことのある方であるならば進路選択時に、どちらに進むか悩まれたことがあるのではないでしょうか。
日本では学問を文系と理系にはっきりと分離していることが多いです。
また就職についても文系職や理系職などと分離しているケースが多いと思います。
因みに文系とは人文社会系と表されることもあり、一方の理系は理工医などと表されることもあります。
この文系と理系が分離されて議論されていることについて関心があり星海社新書の「文系と理系はなぜ分かれたのか」を読ませていただきました。
著者は科学史家で名古屋大学大学院経済学研究科教授の隠岐さや香氏です。
まず文系や理系の学問史、高等教育史ついての紹介があります。
12世紀頃は階層別に専攻できる分野あり上級階級と下級階級で分かれていたようです。
またジェンダーの差で文系、理系でどちらを専攻するのかがある程度決まってしまうといった話もありこちらは主に日本でありがちなことではないかと思います。
男性は理工医に対する適性が高く女性は人文科学に対する適性が高いといった印象が強くありがちですが、果たしてその見方が正しいのか甚だ疑問に感じます。
また女性が同じ文系分野でも社会科学系の分野では適性が低いという見方もあるようです。
それらの話については心理分析や実験によって研究がなされていて、単にマインドコントロールがあるのでバイアスのある見方になってしまいます。
ただ男女で脳の性質に多少の違いや特徴があるので、個人差はあると思いますがある程度は性別による文系、理系の分離が発生するのかもしれません。
近年日本でも、文系と理系の壁を超えた教育と研究が行われている学部を創設する大学も増加しています。
この書籍では文系、理系の違いや分離についての話だけではなく、日本と海外において、修士課程や博士課程修了者の就職状況の特徴や社会からの評価、また日本の歴史的背景から理系重視、文系軽視に至る経緯など
が紹介されています。
文系や理系、或いは学問の歴史を知ったり考えるきっかけになる書籍だと思います。